第三話 羊飼いの憂鬱 (2003年11月17日)


Deceitから戻った俺は、KASUMI宅で打ち上げをした後、
Moonglowへと立ち寄った。
戦利品を銀行へと入れ、ふと辺りを見ると、一人の農夫が人を募っているのが見えた。

手前で喋っているのがその人、Walkerである。

彼の言うところによると、

「VesperからYewへ羊を送ってもらうことになっているのだが、
 どうなっているのか気になる。見に行ってもらえないか」

ということだ。

農夫の割に…というと語弊があるが、
きちんとした教育を受けた農夫のようだ。
Yew訛りも全くなく、物腰も穏やかである。

女性には優しく、がモットーな俺だが、
現実に困った人から頼み事をされると、男だろうが女だろうが断れないものだ。

周りにいた3人で彼の頼み事を引き受けることとなった。

名前はここで記すのは問題があるかもしれないので、頭文字で紹介する。
メイジのT氏。
鍛冶屋のL氏。

そして騎士のこの俺、Vaiだ。


VesperからYewに向かって歩いていけば、羊を連れた農夫に会えるはずだ。
というわけでT氏の出したゲートをくぐり、俺たちはVesperへと向かった。

Vesperから歩くこと数時間。
VesperからYewまではるばる歩いたのなんて、何年ぶりだろう?
コブトスのある山脈を抜け、ガードポストをくぐり、
北の海岸沿いを走った。

俺の愛棒・Wildの息が乱れてきた頃、羊飼いを発見することが出来た。
パッと見たところ、なにやら先に進むことが出来ずまごついているようだ。

彼、Olafは熟練した羊飼いのようだ。

その彼が何故こんなところで足止めを食らっているのか。
彼が言うところによると、

「この先にOrcが沢山いて、先に進めないでいる」

とのこと。

「だったら俺たちがYewまで護衛しますよ」

と申し出ると、彼は安堵の表情を浮かべた。
一人鍛冶屋が混じっているような気がするが、
Orc程度なら問題はないだろう。

打たれ強い俺が先頭、T氏とL氏がその後、
その後ろをOlafというように陣を組み、先へ進むと・・・

いるわいるわ。
どこから湧いたのかと言いたくなるほどのOrcたち。
正直、Deceitからの疲れが抜けていない俺だったが、
ここは手数で勝負することにした。

AEgisを右手に、無銘の刀を正眼に構え、神聖呪文を絞り出す。

「Angus Luminos」

Holy Lightの呪文だ。
俺を中心に光の渦が巻き起こり、辺りのOrc全員を吹き飛ばす。
次から次へとわき起こるOrcたちの体力も、Holy Light6連発によって瀕死となる。
そこにT氏の生み出したEnergy Vortex、
そしてL氏の鍛えに鍛え上げられたGiant Beetleがトドメを刺す。

数分の後には、辺り一面には夥しい数のOrcの骸が横たわっていた。
あまりの俺たちの強さに、Olafも目を丸くしていた。

この調子で、Yewに向かうまでもの凄い数のOrc達が立ちふさがった。
Orc、Orc captain、Orcish mage、Ettin、
あるときには地面が見えないほどのReaper。
だがいかに数があろうと、雑魚は雑魚だ。

「そんなに美味しいんですかね・・?羊、、」

あまりの数が湧くものだから、Olafもさすがに首を傾げる。

しばらくの後に、無事Yewへと着くことが出来た。

牧場といっても沼地となっていますが…と、Olafの少し寂しそうな笑顔が印象的だった。
もともとYewは肥沃な土地が広がり、
鬱蒼と茂った木々によって様々な動物が暮らすことが出来た地であった。

今は見ての通り、MeerとJukaとの戦いの煽りをうけ、
「腐敗の術」の犠牲となった。
現在「腐敗」そのものは止まったものの、
過去の美しい地に復興するまでにはまだまだ時間がかかりそうだ…。


この後俺たちはMoonglowへ、Walkerに報告するために引き上げた。
だがWalkerも畑仕事があるのか、Moonglowにはその姿を見つけることはできなかった。

少々拍子抜けな感じはあったが、無事依頼は果たすことが出来たし、
まぁ、よいのかな?

しかしたかが羊に、何故あんな大量のOrcをつぎ込んだのだろう。
ここ最近のOrc襲来と、あの羊とは何か関係があるのだろうか?
そんなことをあれこれ考えながら、
俺はIsland of Fireにある我が家で眠りについた。










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