第四話 煌めきの、影−其の壱− (2003年12月12日)


Barlon。

力が全てな魔界の社会において、貴族階級にまで上り詰めた漆黒のデーモン。
現在確認されているモンスターの中では最高の攻撃力と格闘センス、
そしてそれに次する魔力とスピードを兼ね備えた、古代竜と並ぶ最強三魔の一体である。

重装戦士でさえ瞬きする間に屠る最凶の悪魔だが、
これでも魔界では五階位ある貴族階級のうち、最下位にあたる『魔男爵』にすぎないと言われている。

(モンスター図鑑より引用)


俺の家はIsland of Fireにある。
Island of Fireと言われると「?」という人も多いかもしれない。
要は、HythlothDaemon Templeがある島のことだ。

Hythlothも、Daemon Templeも、悪魔属が湧くことで有名だ。
「赤閣下」と呼ばれる、身体が赤いDaemonは、熟練の冒険者にとってはあしらいやすい相手だ。
打撃も魔法も大して痛くはなく、Dragonと異なりブレスも吐いてこない。
だからかこれらの場所は、いつも多くの冒険者達でにぎわっている。

だが、黒閣下、と言われるBarlonだけは別だ。

あの太い腕から繰り出される一撃によって、
駆け出しの頃の俺は何がなんだか分からないまま何回死んだか分からない。
駆け出しの頃から黒閣下と戯れていたことになるが・・
今は戦闘技能もかなり熟練し、装備も整ってきてはいるが、
それでも痛い。
強固なAEgisの盾に隠れて、やっと凌げるかどうかというところだ。

強い者にはそれなりの敬意を表したい。
敬意を表して、全力で屠る。
俺と貴様の力比べってわけだ。
アレだ、強敵とかいて「とも」と読む、ってヤツだ。
悟空とベジータだ。

脱線したな。


Barlonが出るところには決まって、いくつかのキーワードが関係する。

第一に、「魔法陣」

第二に、「血」

例えばHythlothを思い出して欲しい。
またはイルシェナーにあるBloodを思い出して欲しい。
どちらにも血に染まった魔法陣があるだろう?
魔法陣は自然にできるものではないし、血も地面からわき出てくるものではない。
この辺りに、奴らを呼び出す方法のヒントがある。

ここからはあくまで俺の推論に過ぎないが、一つ聞いてみて欲しい。

 Barlonは、ソーサリアに出てくるための出口として、「魔法陣」が必要である。

 魔法陣を組み、おそらく何らかの生け贄、あるいは召喚者の血を用いて、魔界と契約を結ぶ。

 魔界との通路が開き、Barlonが呼び出される。

確証となるものは何もないが、大筋は外してはいないのではと思う。
持論といってもシンプルなものだし、突っ込み入れる余地はないかもしれない。

疑問も残る。

なぜBarlonしか出てこないのか。赤閣下の呼び出しとどのように違うのか。
召喚者は誰で、どこに行ったのか。
なぜBarlonは外へ行かないのか。あるいは行けないのか?

召喚者は誰で、と言ったものの、多くの場ではEvil Mage
あるいはLichらであると俺は思っている。
あんなもの呼び出して、一体何が楽しいのか全く理解できないが、
いかにも貪欲に力を追い求める奴らのやりそうなことだ。
もっとも、呼び出した後の奴らの姿が見えないところを見ると、
呼び出したはいいものの、制御はできなかったと考えるのがいいんだろう。

・・・制御できないとどうなるかって?
言わせるなよ。


少なくともBlood、ここのダンジョン中に飛び散っている血、
これは間違いなくEvil Mageのものだろうと俺は思ってる。

魔法陣を調べていると、出やがった。
俺の姿を認めると、嬉しそうに笑みを浮かべた。

折角出てきてくれたところ申し訳ないが、お前を呼んだのは俺じゃない。

友人のAburamiから譲り受けたDaemon特効Broad Swordを構え直す。
切れ味は決していいとはいえないが、Barlon相手なら十分すぎる威力だ。

このときは俺は装備はHQドラゴン革製の鎧を着、
頭部はバンダナ、首だけNight Sightの呪文がかかった防具を付けている。
AEgisの盾とSwamp DragonのWildおかげで一撃の威力をかなり押さえているが、
魔法2発に打撃一撃を食らおうものなら途端に瀕死だ。

なるべく自分の得意な距離を保つ。
この距離ならコンボを食らうことはない。
スタミナとマナの具合を確かめながら、距離を詰める。

剣を持った左手で印を結び、Enemy of one、そしてコンセクを唱えて攻撃力を上げるという、
Paladin達の最もオーソドックスな戦法に乗っ取って、打ち合うこと数合。



冥府へと彼を送り返した。

やはり乗りドラは強い。
この後、試しに両手武器で特効AEgis無しでやっても余裕で勝ててしまった・・、、
乗りドラを使うことの寒さを思わずにはいられなかった。


さて、落ち着いたところで…

これがその魔法陣だ。

death vortex。
訳すならば「死の渦」とでもいったところか。

おそらくこれが、俺の推論の唯一の状況証拠だ。
この渦を通って、ソーサリア外から彼らがやってくるのだと思われる。
まぁ、俺は彼らが「この渦を通って」来るところは目撃していないし、
Barlonが現れる他の魔法陣にはこのような渦がないため、
世界の行き来に「絶対に」この渦が必要不可欠かどうかはわからないのだが。


ふと疑問に思うことがある。

例えばHythlothは元々地獄に通じている印象がある。
BloodはEvil Mageか何か、とにかく人間の死体が転がっており、
おそらく奴らが呼び出したのだろう。
変な言い方だが、Barlonが湧こうが何が湧こうが、そこまでの驚きはない。

では、Wispはどうなのだろう?

あそこにもBarlonが出現するのは俺も知っているし、見たこともある。
だが、魔法陣やその周辺の様子までは注意を向けたことがない。

Wispは自然界の意志の現れである、とどこかで聞いたことがある。
自然界の意志が、Barlon召喚ということだとしたら・・?








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