第四話 煌めきの、影−其の弐− (2003年12月12日)


12月12日にWisp探索に行くことを発表し、仲間を募った。

今回のパーティーは、前回も集まったKASUMI・Stuart・Crystalに加え、
オスタード騎士団に所属するHansen氏を加えた編成だ。

前衛が俺・Cryss・Hansen、後衛がKASUMI・Stuartとなる。
何しろ一撃の威力が前回のLich Lordとは比べものにならない。
前衛の堅さ・後衛からの援護の厚さが要求されるだろう。

Hansen氏について紹介しよう。
彼はオスタード騎士団に所属する、手練れの戦士である傍ら、
実はオスタード騎士団のギルドハウスの隣にある、Bar OK!の店主でもある。
Bar OK!についてはリンク先のページを見てもらいたい。
俺も日頃は客として(Warに出ていないときだが)お世話になっている。

日頃は俺も、彼のにこやかに客と接し、話題を提供し、そして酒を注いでいる姿しか見たことがない。
そんな彼が、全身を青いフルプレートに包み、Valorite鋼製のハルバードをひっさげ、
俺達と共に冒険に出かけるのだ。

彼は「老いて弱っておりますがね」などと言っているが、
戦場での彼の働きっぷりは、まだ老いなど微塵も感じさせなかった、とあらかじめ書いておこう。


12月12日。夜10時集合。

俺は大いに寝坊をして、集合場所であるVesperの革屋に着いたのは10分ほど過ぎたあたりだった。

出発前に、KASUMIが焼いてきたルーンを頂いた。
イルシェナーからはBritaniaへゲートを開くことが出来ない。
前回の撤退のときに崩れかけた教訓を生かすためだという。

これを使って帰ってくるとき、一人として幽霊がいないようにしよう、と心に誓う。

革屋からイルシェナーの誠実ゲートに向かった。
ここからダンジョンWispはすぐだ。
ゲートをくぐるとそこには既に2、3匹のWispがフラフラしていた。

Wispという名前が表すとおり、ダンジョンの入り口にWispが飾ってある。
飾ってある、という言い方も妙だな。
そもそも俺はWispが生き物であるのかもよく知らない。
が、Wispが死ぬと小さく凝縮してしまうため、このWispは死んでいるとは思えない。

とりあえず小さな謎ではある。

KASUMI:「死なせない、任せてくれ!」
と、KASUMIが奮い立たす。

Stuart:「ステキ!」
Crystal:「よし!」
Vai:「っていうかスッチー、お前もそれ言わないと(笑)」

そんなやりとりをしながら中に入った。

中に入ってまず驚くのはその美しさだ。
床は大理石か花崗岩かよくわからないが、白く輝く石で敷き詰められている。
壁には綺麗に織られた旗、そして大理石で出来た机、彫像。
それらに明かりを与えるのはキラキラと輝くWisp。

誰一人道を把握していないため、行き当たりばったりで行くことになった。
迷ったとしても心配は少ない。
Wispから俺たちに危害を加えることはないからだ。

華美な風景を前に、歩きながら話も弾む。

Vai:「俺、結婚式上げるとしたら、ここでやろう…」
KASUMI:「ここかよw」
Hansen:「マジか」
呆れるマスターに畳みかける俺。
Vai:「花嫁いい人、紹介してくださいマスター」
Stuart:「うはは」
Hansen:「考えておこう…」

Stuartは「縁よ、縁」とニヤニヤしている。
KASUMIには「どういう冒険の始まりだよ…」となじられるが、
色恋沙汰に時と場所は関係ないものさ。

…と、この場で言い訳をしておこう。

迷いながら歩いていくと、このような場所まで発見した。

白い段の上に、輝くAnch、そしてWisp。
手前の長机には本まで置かれている。

これが式場じゃないとしたら、どれが式場なのだ?

Vai:「ほーら、式できる、式」
何故かえらそうになる俺。
Hansen:「これはまた、素晴らしい…」
KASUMI:「こりゃあ、いいじゃないのよ!」
Cryss:「へぇぇぇ」
Stuart:「(式が)出来るねぇ…」
一同それぞれ感嘆の溜息を漏らす。

あまりの美しさ・そして場所とのミスマッチにしばしそれぞれ我を忘れた。
Stuartが「さて、帰るか」と踵を返しかけたのも無理はない。
それほど、この先待ちかまえているだろう、Barlonとの戦闘とのギャップが大きかったのだ。

しかし、一体誰がこんなモノを作ったのだろう?
そして、誰がこれを使ったのだろう?
Wispに足はなく、彼らがこの椅子を使ったとは考えがたい…

最初の階層にはモンスターの類は出現していないようだ。
しかし、危険なのはここから。
それぞれ気を引き締め、次の階層への階段を降りた。








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